問題編は、日商簿記3級範囲の仕訳練習問題をお届けしています。
今回は、決算時の貸倒引当金を差額補充法で設定する仕訳です。
問題34
貸倒引当金の仕訳
本日決算日につき、売掛金の期末残高150,000円に対し、実績率3%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。なお、貸倒引当金の期末残高は3,000円である。
解き方解説
売掛金や受取手形などは、「回収できないかも」という可能性があります。
そこで、翌期以降に貸倒れることが予測できる場合にはどのくらいあるかを見積もって、その金額を当期の費用として計上することができます。
実際、回収できるかもしれませんので売掛金などを減少させる仕訳などはできません。
それで、「回収できないかも」は貸倒引当金として仕訳をします。
その貸倒れの設定の計算を差額補充法で行います。
あくまでも、今年の売掛金などに対する債権(もらえる権利)に設定するので、すでに設定してある貸倒引当金の残高がある場合は、差額だけを補充します。
これを差額補充法といいます。
貸倒引当金(差額補充法)の仕訳の考え方の流れです。
この流れで、貸倒引当金の計算をしていきましょう。
①貸倒引当金の設定額を計算
期末の債権に対していくら設定すれば良い?
問題は売掛金の期末残高150,000円に対して3%設定するとあります。
150,000円×3%=4,500円
この4,500円が貸倒引当金として設定したい金額です。
②貸倒引当金の残高を確認
貸倒引当金の残高を確認します。
貸倒引当金の設定
決算時に差額補充法で仕訳を行う場合、①の設定したい金額と②で確認した残高を比較します。
②の残高が①の設定額より少ない⇨不足分を繰入
②残高3,000円<①設定金額4,500円
⇨不足分の1,500円を繰入
まとめるとこのような流れです。
- 今年の売掛金残高は150,000円
- 貸倒引当金の設定したい見積額は
150,000円×3%=4,500円 - 貸倒引当金の残高3,000円
すでに貸倒引当金の残高が3,000円あるので、1,500円だけ追加!
では、この計算した繰入の仕訳をしてみましょう。
【仕訳の考え方】
1、貸倒引当金繰入(費用)の増加
2、貸倒引当金(資産マイナス)の増加
1、貸倒引当金繰入(費用)の増加
⇨費用(+)なので借方の左
貸倒引当金繰入 1,500/
差額で補充する分を費用として計上します。
2、貸倒引当金(資産マイナス)の増加
⇨資産のマイナス(+)なので貸方の右
貸倒引当金繰入 1,500/貸倒引当金 1,500
差額を補充して、貸倒引当金の残高は4,500円の設定したい金額になりましたね。
これで取引の仕訳が完了です。
仕訳解答
では改めて仕訳の解答です。
仕訳のポイント
- 差額補充法で、設定額より残高が少ない場合は補充する。
- 補充した分は「貸倒引当金繰入」という費用で計上する。
- 設定額より残高が多い場合は、戻し入れる。
戻し入れる場合の仕訳は、また別の問題で出題しますね。
貸倒引当金は資産のマイナス??となった方は、69話のブログを必ずチェックしましょう。
貸倒引当金の差額補充法についてはブログの70話をおさらいしましょう。
次回は、問題編36「会社が役員にお金を借りた」の問題にチャレンジしてみましょう。
今日も最後までありがとうございました。