問題編は、日商簿記3級範囲の仕訳練習問題をお届けしています。
今回は、決算時の貸倒引当金を差額補充法で設定する仕訳です。
問題56
貸倒引当金の仕訳
本日決算日につき、売掛金の期末残高210,000円に対して3%の貸倒引当金を設定する。なお、貸倒引当金の期末残高は7,000円であり、差額補充法によって処理する。
解き方解説
売掛金や受取手形などは、「回収できないかも」という可能性があります。
そこで、翌期以降に貸倒れることが予測できる場合にはどのくらいあるかを見積もって、その金額を当期の費用として計上するのが貸倒引当金の処理でしたね。
その貸倒れの設定の計算を差額補充法で行います。
あくまでも、今年の売掛金などに対する債権(もらえる権利)に設定するので、すでに設定してある貸倒引当金の残高がある場合は、差額だけを補充します。
これを差額補充法といいます。
貸倒引当金の計算をしていきましょう。
①貸倒引当金の設定額を計算
期末の債権に対していくら設定すれば良い?
問題は売掛金の期末残高210,000円に対して3%設定するとあります。
210,000円×3%=6,300円
この6,300円が貸倒引当金として設定したい金額です。
②貸倒引当金の残高を確認
貸倒引当金の残高を確認します。
貸倒引当金の設定
決算時に差額補充法で仕訳を行う場合、①の設定したい金額と②で確認した残高を比較します。
②の残高が①の設定額より多い⇨過剰分を引く
②残高7,000円>①設定金額6,300円
⇨過剰の700円を戻入れ
まとめるとこのような流れです。
- 今年の売掛金残高は210,000円
- 貸倒引当金の設定したい見積額は
210,000円×3%=6,300円 - 貸倒引当金の残高7,000円
すでに貸倒引当金の残高が7,000円あるので、700円貸倒引当金を減らす
では、この計算した繰入の仕訳をしてみましょう。
【仕訳の考え方】
1、貸倒引当金(資産マイナス)の減少
2、貸倒引当金戻入(収益)の増加
1、貸倒引当金(資産マイナス)の増加
⇨資産のマイナス(ー)なので借方の左
貸倒引当金700/
貸倒引当金は資産のマイナスを表す勘定で、貸方に残高があります。
それをマイナスするので、逆の借方(左)に記入します。
2、貸倒引当金戻入(収益)の増加
⇨収益(+)なので貸方の右
貸倒引当金 700/貸倒引当金戻入 700
前期に設定した貸倒引当金繰入(費用)は、決算が終わっているので費用のマイナスができません。
その代わり、収益を計上します。
差額をマイナスして、貸倒引当金の残高は6,300円の設定したい金額になりましたね。
これで取引の仕訳が完了です。
仕訳解答
では改めて仕訳の解答です。
仕訳のポイント
- 差額補充法で、設定額より残高が多い場合はマイナス(戻入)する。
- マイナスした分は「貸倒引当金戻入」という収益で計上する。
貸倒引当金戻入については71話のブログをチェックしましょう。
次回は、問題編57「伝票の記入問題」の問題にチャレンジしてみましょう。
今日も最後までありがとうございました。