問題編は、日商簿記3級範囲の仕訳練習問題をお届けしています。
今回は、購入した備品を期中に売却した時の仕訳です。
問題39
固定資産期中売却の仕訳
×2年4月1日に購入した備品(取得原価1,200,000円、耐用年数10年、残存価額:取得原価の10%、償却方法:定額法、記帳方法:間接法)を×5年6月30日に800,000円で売却し現金で受け取った。
解き方解説
数年使用した固定資産を売却する時は、次の計算が必要になります。
- 購入から前期末までの減価償却累計額
- 当期首から売却までの減価償却費
年数や月数のカウントを間違えないためにもタイムレコードを書いて情報を整理しましょう。
今日はこのような手順で仕訳をしていきます。
もちろん、自分が書きやすいところからでもOKですよ。
- 売却したので備品を減らす
- 売却した備品の減価償却累計額も減らす
- 当期使った分の減価償却費を計上する
- 現金を受け取った増加の処理
- 差額で売却損か売却益かを計算し計上
【仕訳の考え方】
1、備品(資産)の減少
2、減価償却累計額(資産マイナス)の減少
3、減価償却費(費用)の増加
4、現金(資産)の増加
5、固定資産売却損(費用)の増加
1、備品(資産)の減少
⇨資産(ー)なので貸方の右
/ 備品1,200,000
2、減価償却累計額(資産マイナス)の減少
⇨資産マイナス勘定の減少なので借方の左
減価償却累計額324,000/ 備品1,200,000
購入から前期末までの減価償却累計額
タイムレコードの情報を見ると、購入してから3回決算があったことがわかります。
1,200,000円×0.9÷10年×3年=324,000円
備品は資産なので購入時に借方(左)計上されています。
減価償却累計額は、決算時に貸方(右)に計上されています。
売却するので、それぞれ逆に書くことでマイナスされます。
3、減価償却費(費用)の増加
⇨費用(+)なので借方の左
減価償却累計額324,000/ 備品1,200,000
減価償却費 27,000
当期首から売却までの減価償却費
当期は、4月1日から6月30日の3ヶ月使用している分の減価償却費を計算します。
1,200,000円×0.9÷10年×3ヶ月÷12ヶ月=27,000円
4、現金(資産)の増加
⇨資産(+)なので借方の左
減価償却累計額324,000/ 備品1,200,000
減価償却費 27,000/
現金 800,000/
5、固定資産売却損(費用)の増加
⇨費用(+)なので借方の左
減価償却累計額324,000/ 備品1,200,000
減価償却費 27,000/
現金 800,000/
固定資産売却損 49,000/
備品から、減価償却した分を引くと備品の価値が計算されます。
1,200,000-(324,000+27,000)=849,000円
849,000円の価値のある備品を800,000円で売却したので、49,000円の売却損ですね。
固定資産を売却した時の差額は、どちらかが計上されます。
- 固定資産売却損(費用)=借方(左)に計上
- 固定資産売却益(収益)=貸方(右)に計上
なので、今回の問題のように差額が借方(左)に出る場合は、売却損の費用だなと考えることもできます。
仕訳解答
では改めて仕訳の解答です。
仕訳のポイント
- 固定資産の売却はタイムレコードで情報を整理する。
- 期中売却の時は、当期分の減価償却の計上を忘れないようにする。
固定資産の期中売却については、ブログの79話を確認してください。
次回は、問題編40「固定資産の修繕と改良」の問題にチャレンジしてみましょう。
今日も最後までありがとうございました。