問題編は、日商簿記3級範囲の仕訳練習問題をお届けしています。
今回は、固定資産の売却です。売却した固定資産は期中に取得し、売却も期中に行なっています。
問題26
固定資産の売却
×2年9月1日に取得した備品(取得原価360,000円、残存価額ゼロ、耐用年数5年、減価償却の計算は定額法、記帳は間接法)を、×4年7月31日に200,000円で売却し、売却代金は月末に受け取ることにした。
なお、決算日は3月31日であり、取得年度および売却年度の減価償却費は月割計算による。
解き方解説
これまで使用していた固定資産の売却をする際は、減価償却について以下の2つを考えます。
- これまでいくら減価償却されていた?
(これまでの減価償却累計額はいくらか?) - 当期売却するまでの減価償却費はいくら?
前期末までの減価償却累計額
取得日から、前期末までの決算で行なった減価償却の月数はこのようになります。
- ×2年9月1日〜×3年3月31日 7ヶ月分
- ×3年4月1日〜×4年3月31日 12ヶ月分
決算を2回迎え、合計19ヶ月減価償却されており、この分が減価償却累計額に計上されています。売却するのでこの累計額もなくなるということですね。
当期首から売却までの減価償却費
当期首から、使用した分だけ減価償却費を計算します。
- ×4年4月1日〜×4年7月31日 4ヶ月分
売却の際にこの4ヶ月分の減価償却費も今年の費用として計上します。
間違えやすいので、イラストのようにタイムレコードを書いて情報を整理しましょう!!
【仕訳の考え方】
1、備品(資産)の減少
2、減価償却累計額(資産マイナス)の減少
3、減価償却費(費用)の増加
4、未収入金(資産)の増加
5、固定資産売却損(費用)の増加
1、備品(資産)の減少
⇨備品(ー)なので貸方の右
/ 備品 360,000
間接法で記帳しているので、備品は帳簿に取得原価の360,000円が計上されています。
2、減価償却累計額(資産マイナス)の減少
⇨減価償却累計額(ー)で借方の左
減価償却累計額 114,000/備品 360,000
[減価償却費累計額の計算]
これまでの減価償却累計額を計算します。
360,000円×19ヶ月÷60ヶ月=114,000円
5年は60ヶ月なのでまとめて計算しています。
※決算ごとに計算してもOKです
- 360,000円÷5年×7ヶ月÷12ヶ月=42,000円
- 360,000円÷5年=72,000円
合計114,000円
3、減価償却費(費用)の増加
⇨減価償却費(+)なので借方の左
減価償却累計額 114,000/備品 360,000
減価償却費 24,000/
[減価償却費の計算]
当期首から売却までの4ヶ月分を計算
360,000円÷5年×4ヶ月÷12ヶ月=24,000円
4、未収入金(資産)の増加
⇨未収入金(+)なので借方の左
減価償却累計額 114,000/備品 360,000
減価償却費 24,000/
未収入金 200,000/
月末にもらえる売却代金を計上します。
後は、差額を計算して固定資産売却益か固定資産売却損かを計上します。
5、固定資産売却損(費用)の増加
⇨固定資産売却損(+)なので借方の左
減価償却累計額 114,000/備品 360,000
減価償却費 24,000/
未収入金 200,000/
固定資産売却損 22,000/
貸借差額を計算すると借方に22,000になります。
売却損(費用で発生は借方)か売却益(収益なので発生は貸方)のどちらかです。
借方に発生する=費用なので、固定資産売却損だなとの判断でもOKです。
備品は360,000円でした。
この備品の価値の減少分は138,000円
114,000(減価償却累計額)+24,000円(減価償却費)
360,000円ー138,000円=222,000円
222,000円の価値がある備品を200,000円で売却したので、22,000円損してますね。
これで取引の仕訳が完了です。
仕訳解答
では改めて仕訳の解答です。
仕訳のポイント
- タイムレコードを書いて情報を整理する。
- 前期までの減価償却累計額を計算する。
- 当期首から売却までの減価償却費の計上を忘れないようにする。
- 最後に差額で売却損か売却益を計上する。
借方に記入=固定資産売却損
貸方に記入=固定資産売却益
固定資産の期中売却についてはブログの79話で紹介しています。
次回は、問題編27「商品券の換金」の問題にチャレンジしてみましょう。
今日も最後までありがとうございました。