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簿記きほんのき81【決算】収益・費用の繰延べの仕訳

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簿記きほんのき81

今日の学習内容

前回のブログは、「繰延べと見越し」とはどんな処理?などの概要を学習しました。
今日は、繰延べの仕訳から確認していきましょう。

 

 

 

収益・費用の繰延べ、見越し処理とは(おさらい)

「今年分の収益にする、今年分の費用にする」して正しい利益計算を行うために行う決算時の仕訳です。

「繰延べ・見越し」の処理は全部で4つのパターンがあります。

 

繰延べとは

繰延べの処理は2つのパターンです。

  1. 収益の繰延べ
    当期に受け取った収益から、次期以降の分を差し引いて次期に持ち越す。
  2. 費用の繰延べ
    当期に払った費用から、次期以降の分を差し引いて次期に持ち越す。

次期以降の分を差し引いて、時期に持ち越すことを繰延べといいます。
(時期に持っていく)

 

見越しとは

見越しの処理も2つのパターンです。

  1. 収益の見越し
    当期の収益なのに、後でもらうことになっている収益を計上する。
  2. 費用の見越し
    当期の費用だけど、後払いなどで払っていない分の費用を計上する。

当期に払うはずの費用や、もらうはずの収益を計上することを見越しといいます。
(払ったと見越して、もらったと見越して計上する)

 

 

 今日は、「繰延べ」の2つのパターンについて仕訳を行います。

 

収益の繰延べの仕訳

12月1日に家賃120,000円、向こう1年分を現金で受け取っている。決算において、次期の受取家賃を繰延べる。決算日は3月31日。

  

12月1日に1年分受け取っていますので、次期の収益が含まれています。

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この仕訳で、受取家賃の残高は、今年分の40,000円になりましたね。

 

【仕訳の考え方】

 まず、次期分の受取家賃を計算しましょう。

 120,000円×8ヶ月÷12ヶ月=80,000円

 

 1、次期分の受取家賃(収益)を減らす。

 2、前受家賃(負債)の計上。

 

 

1、次期分の受取家賃(収益)を減らす。
  収益のマイナスなので

  ⇨受取家賃(ー)借方の左。

 

(借)受取家賃 80,000  /

 

2、前受家賃(負債)の計上。
         負債のプラスなので

  ⇨前受家賃(+)貸方の右

 

(借)受取家賃 80,000 前受家賃 80,000

 

 

前受家賃の勘定科目

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費用の繰延べの仕訳

9月1日に保険料3,000円を向こう1年分現金で支払っており、次期分の保険料を繰延べる。決算日は3月31日。」

 

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この仕訳で、保険料の残高は、今年分の1,750円になりましたね。

 

【仕訳の考え方】

 まず、次期分の保険料を計算しましょう。

 3,000円×5ヶ月÷12ヶ月=1,250円

 

 1、次期分の保険料(費用)を減らす。

 2、前払保険料(資産)の計上。

 

 

1、次期分の保険料(費用)を減らす。
  費用のマイナスなので

  ⇨保険料(ー)貸方の右。

 

(借)       /保険料 1,250

 

2、前払保険料(資産)の計上。
         資産のプラスなので

  ⇨前払保険料(+)借方の左

 

(借)前払保険料 1,250 保険料 1,250

 

 

前払保険料の勘定科目

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練習問題

決算日に注意して問題を解いてみましょう!

 

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練習問題解答

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最近では日商簿記の試験問題で、繰延べるという表現が減っています。

問題文としては

  • 第5問の決算整理事項の一覧にある時
    「12月1日に家賃120,000円、向こう1年分を現金で受け取っている。」とだけ記載がある場合もあります。
    決算日が3月31日ならば次期分が含まれています。
    この時は、向こう1年分払ってる⇨次期分を繰延べると判断

  • 前受という表現を使っている。
    「12月1日に家賃120,000円、向こう1年分を現金で受け取っており、決算において前受分を計上する」

 


重要なのは、繰延べるという言葉ではなく、当期分の収益や費用にするための処理を行いうことです。その際に、前受した前払いしたか判断して仕訳をすることです。

 

明日「費用・収益の繰延べ」について翌期首に行う処理を学習します。

 

今日も最後までありがとうございました!

 

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